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 アカイロ/ロマンス 少女の鞘、少女の刃     【ライトノベル雑感】
2008/10/21 12:21

著:藤原祐
電撃文庫

電撃の黒い太陽という異名は伊達じゃないと……
ていうか、これは凄い。
ここまで極まってる作品は滅多にお目にかかれないですよ。
「レジンキャストミルク」から引き続いてイラストを担当している椋本夏夜さんの描く可愛らしいキャラと、内容とのミスマッチ具合がもはや笑えないレベル。<最大級の褒め言葉


「妾(わたし)の夫になれ」という帯にもあるキャッチコピー。
読み終わってみれば、全く内容からかけ離れていて笑えます。
いや、実際にそういうシーンはあるし、今後のことを考えると意味はあるんだろうけど。
作中でのこの台詞にはインパクトが皆無すぎる。
正確には他に衝撃的なシーンが多すぎて、全然印象に残ってないだけだけど。

とりあえず、序盤はほのぼの。
前作でも”日常と非日常”というものをテーマにしてきたので、今回もほのぼのしたシーンがあるのは当然なのですが、残念ながら今回は本気で序盤だけでした。
中盤以降はもう完全に非日常の世界。
ラストでは完膚なきまでに日常が壊れてるので2巻以降どうするんだろうかと心配になります。

巻頭のキャラ紹介では灰原吉乃がメインヒロインっぽかったので、パッと見で一番気に入ったキャラがヒロインとは幸先いいな~と思ったら、最悪でした(爆死)
主人公と携帯番号を交換した矢先にピンチになり、主人公に助けを求め、颯爽と主人公が駆けつけましたが!
既に死んでました……
これから仲良くなるはずだったメインヒロインが登場から僅か50ページで無常にも。

しかも、そこに謎の者達が登場。
奇妙なメイド服の女性と、彼女が手に持つ生首。
一人と一個、もしくは二人。
何かの儀式をするためにと、メイドさんは亡くなった灰原の首を斧でばっさり……
これは笑うしかないです。
何のイジメだろうかと考えてしまいました。
このシーンに挿絵があったら最強のラノベという称号を獲得できたでしょう。

既に死んでたにも拘らず斬首したのは、彼女らは人間ではない一族であり、死んだ人間の身体に自らの頭部をくっつけて新しい身体にすることが出来るらしいです。
(人間ではないので生首のみでも死んでいない)
こうして、身体は灰原吉乃だけど顔は枯葉という、新生”枯葉”が誕生。
もうこの時点で何とも言えないです。
主人公、あまりにも酷すぎる光景に気絶します。


気が付くと知らない家。
クラスメートの木陰野棗という仲が良い少女が登場し、彼女もその一族だったというサプライズ。
まぁ、既にサプライズどころじゃない展開になっているのでもはや驚けるわけもないですが。
何が起こったのかを聞きつつ、ようやく少しだけ落ち着いて、そして灰原が亡くなったことを実感。
でもトドメに聞かされる一言がまたしても凶悪。
灰原は主人公のことが好きだった!
そこまで珍しい展開でもないですが、灰原吉乃の身体は枯葉が使っていて、しかもどうやら生前の記憶や感情なども一部受け継がれるとかで。
要するに枯葉には「主人公が好きだった」という気持ちが少なからず残ってるんですよね。
でも、灰原は既にこの世にいないわけで……主人公としては何とも言えない状況です。

更に棗からは他にも”一族”の者はいると教えられ、それが棗と同じく主人公のクラスメートである日崎歩摘。
この時点で、序盤の日常シーンに出てきた友人のうち、秋津依紗子だけが一般人で、残りは死亡したか”一族”の者か。<男どもは除く
もはや人外だらけです。
表向きは「灰原は失踪した」ということになってるわけですが、そこで秋津が「灰原は棗達からイジメを受けていた」と密告。
助けてくれたはずの棗が全ての黒幕だった!?ということで主人公疑心暗鬼に。
そもそも、主人公の姉や、灰原の親友だった尾ノ上梨々子も数年前に失踪しており、今また灰原が失踪という扱いになっている。
ここに至り、ようやく主人公も事態を理解し始めます。


枯葉に説明を求めるために学校に呼び出すも、そこで日崎に遭遇したため、ついでに事情を聞いてみると知りたくもなかった新事実が発覚します。
尾ノ上を殺したのは日崎でした!
ついでに言えば日崎が使ってる身体が尾ノ上のものでした……
突然いなくなってしまった尾ノ上はすぐそばにいた!
勿論身体だけですが。
日崎は尾ノ上に自分の正体を明かしたら拒絶されたんで、殺して身体を手に入れて”二人はずっと一緒だね”ごっこをやっていたらしい。
悪趣味すぎて苦笑せざるを得ないね。
そして、梨々子の親友である灰原が気に入らなくてイジメていたということで、灰原が死んだのも日崎のせいだった。

知られちゃったから殺すね?と襲い掛かってくる日崎ですが、そこに枯葉が登場して、二人の殺し合いが開始。
日崎と枯葉は親友同士で、日崎の身体(尾ノ上)と枯葉の身体(灰原)も親友同士というダブル親友同士の殺し合い。
もはやギャグなのかどうか分からないので笑うに笑えない状況です。
着物姿の少女(枯葉)が小刀握ってる挿絵はいいですね。
状況的には全然和めないですが和みます。

この場から去れと言われ、一度は逃げた主人公ですが、このままでいいはずがないと戦場に舞い戻ります。
でもって、劣勢になっていた枯葉を助けつつ何とか日崎を撃退します。
その直後の日崎と枯葉の会話が何とも言えない。
「親友は、裏切ったりなんかしない人のことだよ、枯葉ちゃん。だから私は……」
「違う。この者になら裏切られても構わない。そう思えるのが親友だ」
日崎の考えはあくまで自分本位なんですよね……
そして、灰原は枯葉と同じ考えだったわけで。
正確には灰原の思考を受け継いでる部分があるから同じ考えになってるのかもしれませんが、その辺はとても微妙なところです。


それはいいとして、日崎も改心してやっと解決したと思ったのも束の間、間の悪いところに秋津が登場します。
日崎は大怪我してるし、着物姿の見知らぬ人はいるしで、説明に困るからどうするかーと悩みますが、そんな悩みも吹っ飛びます。
突然秋津が攻撃をしかけてきます。
唯一の人間のヒロインであると思っていた秋津も”一族”の者でした……
それも過去に”一族”から離反した反逆者的な立場であり、枯葉&棗と対立しているようで、嘘の情報を主人公に教えてその様子を見ていたらしい。
最後の最後でラスボス登場です!
そしてこれで人間の女の子は誰一人いなくなりました。
主人公以外、主要登場人物は全員人外ですよ!

日崎は利用されてただけっぽいですが、まだ日崎には利用価値があるらしく、秋津は斬首して(当然首だけを)連れ帰ってしまいます。
残された身体(尾ノ上)はそのままお亡くなりに……これで二度目ですね(爆死)
今度日崎と会う時は誰の身体になってるんでしょうかね。
こんな風に考えることがもう頭おかしくなりそうです。
そんな何とも言えないエンディング……

個人的な推察としては、主人公の姉というのが鍵だと思います。
秋津の母親であり、死んだと思われていた”一族”を追われた身である彼女が時期的にもぴったりな気が。
敵の首領の身体が主人公の姉だったらどうするのかなぁ……
前作でもラスボスは主人公の父親&母親&兄だったしね。
普通にありうる展開かと思われます。


そんなこんなで激しく長文になりましたが、藤原祐氏の新シリーズがスタートです。
これは表紙買いした人がいたらトラウマになるかもしれません(苦笑)
グロい部分もありますけど、それ以上に黒いんですよね……
虚無に満ち溢れているとも言う。
イラストがほのぼのしてることもあって、ホントにこれは想像を絶するレベル。
今の時点で評価とかはつけられないですけど、前作「レジンキャストミルク」が好きな人にとってはちょっとキツイかもしれません。
まぁ、今後もバンバン人が死んだり、首が刎ねられたりするかどうかは分かりませんが。