著:葉山透
電撃文庫
ついにADEMvs海星編完結です。
最初は上中下予定が、プラス完結編になったかと思えば、完結編その2まで続きました。
ちょっと構成が上手くないなーとは思いますが、ボリュームが増しただけ物語が濃くなったと良い方向に受け取っておきましょう。
前回、深海2200mにて由宇を救出した闘真ですが、何とか沈没したフリーダムの船内には潜り込めたものの脱出する手立てが見つからない。
四苦八苦していると、唐突に由宇が消失。
まぁ、実際に消えたわけじゃなくて、闘真が由宇の存在を認識することを拒否したから見えなくなっただけらしいけど。
これはちょっと面白いなと思いました。
トリックとしても使えそうですよね、ちょっと卑怯な方法ではありますが。
闘真の中にある由宇を守りたいという気持ちと、由宇を殺したいという気持ちが衝突しているからこそ起きたんでしょうけど、闘真も由宇も複雑な心境だろうねぇ。
関係ないけど、深海で閉じ込められた空間の中で~というと、どうしても「Ever17」が思い浮かんで仕方なかった……
こうなってくると、闘真の存在そのものが由宇にとって、そして世界にとっての害悪となるわけで。
峰島勇次郎のことも合わせて、非常に面白いことになってきた気がします。
苦渋の決断として、由宇が闘真を殺せばそれで終わりなんだろうけど、当然ながらそんなことは出来るはずもなく。
むしろ、いかに闘真を救えるかってことが問題になってくるんですよね。
これまでは、由宇を救い出したいとか守りたいとか言ってたのが一転して、壊れ始めた闘真をどう救うのか。
比良見にて行動中の麻耶は数年前の映像の再現、由宇が核ミサイルの発射ボタンを押す光景を見ることになるわけですが、これが事実だとすると由宇は峰島勇次郎について、彼がやろうとしていたことについて少なからず知っていたということになるのかな。
というか、峰島勇次郎がいつから特殊な存在になったのか、そしてそれは自発的だったのかという点が気になります。
偶発的とも考えられなくはないけど、全てが計算通りに進んでいたとも考えられなくはない。
だとしたら、由宇が犠牲を承知で核ミサイルを使用したことには、大きな意味があるはずなんですよね……
あそこで彼の目的を阻止しないと、犠牲はそんなものじゃ済まないというような。
由宇と闘真はベルゼブルとの再開、再戦などもありつつも何とか脱出準備は完了。
その方法とは、戦闘機の先端に取り付けたスクリューでスーパーキャビテーションという現象を発生させて、その気泡で水圧から防護しつつマッハの速度で海上へ!という、相変わらず素晴らしい作戦です(苦笑)
ここまでくると何をやっても「それもありなのかもね」と思えてくる不思議。
突如、高速で海中から戦闘機が飛び出してきたらそりゃ敵も味方も呆然となりますよね。
まぁ、そんなわけで由宇と闘真は無事に深海から脱出し、そのまま海上で海星のレプトネーターと交戦開始。
同じく深海に沈むスフィアラボに取り残された伊達も淡々としながらもギリギリの作戦を決行。
LAFIサードの風間の戦略勝ち、ということになるのかな。
由宇の知恵というのも大きいんだけど、それ以上に由宇や闘真とずっと一緒にいたサードの風間だからこそ、ファーストを出し抜けたんだろうね……
作戦は無事に成功して、ついに新フリーダムは撃沈。
負けを認め部下に脱出させつつも、自らだけはフリーダムに残る黒川がちょっとだけカッコ良かった。
確かに生きて罪を償うということも時には必要だろうけど、今はその時ではないと判断したんでしょうね。
沈み行く中で黒川はこれで自分のやるべきことはやりきったと、そう思っていたのかもしれません。
そう言えば、八代とマモンの会話はほのぼのしてるけど、確かマモンって身体が色々と蝕まれててもうそんなに長くないはずですよね。
となるとこれが最期ということになるかもしれないのか。
あんまり好きなキャラでもなかったけど、八代との会話だけはわりと好きでしたね。
エピローグ。
やっぱり、闘真の存在は10年前の比良見での出来事と同じ、らしい。
真相を知りたい闘真は不坐に付いていくことに……
ついに峰島勇次郎の真実が明かされる時が来るのか?
当初思っていたのとはかなり違う方向に来てるけど、更に面白くなってきたのは確かです。