著:桜庭一樹
東京創元社
やっぱり桜庭さんの作品は面白い。
読みやすく、面白いっていうのは言うことなしですよね……
読み終わって一番最初に思ったのは「これは映像化されたら面白そうだなー」ということでした。
それもアニメではなく実写で。
挿絵などのないハードカバー作品の全てがアニメよりも実写の方が向いてるとは思わないんですよね。
有川浩さんの「図書館戦争」なんかは違和感なくアニメ化されてましたし。
それでもこの「赤朽葉家」という作品はアニメよりも断然実写で見たいなぁ。
ストーリーについて。
3部構成なんだけど、一番最初の万葉の話が印象深いし、特に面白かったのもそこかな。
「ブルースカイ」でも同じような感じだったけど、最後の方がどうしても「まとめモード」に入ってしまってるのがちょっと勿体無い。
物語としては瞳子が産まれたあたりでもう終わってしまっているというか。
万葉の遺言っぽくなった「殺人者である」ということの真相に迫っていく話ではあるけど、何ていうか物語自体は既に終わっていて、おまけのお話的な感じがどうしても……
テーマの一つが時代の移り変わりですが。
やっぱりこの昭和という時代は物凄く特殊に感じます。
それは平成に生きる立場から見ているからなのか、それとも昭和がもつ特殊性ゆえなのか。
もっと未来になってから、平成という時代を見たら、やっぱり特殊に思えるのかなぁ。
桜庭さんの作品は大抵が少女のキャラクターがメインで、男性キャラってほとんど出番がないか目立たない作品が多い中、この作品の男性キャラは意外にも記憶に残るキャラが多かったです。
特にお気に入りなのが万葉の長男である泪なのですが。
結局具体的な死因は語られなかったけれど、やっぱり自殺、なんだろうかね。
産まれてきた時の状況も衝撃的でした。
産まれたばかりの我が子が死ぬ未来なんて見せられたら発狂してもおかしくないと思うのです。
そういうこともあってか、泪はずっと暗い影を背負っているように見えたなぁ。
2部の主人公である毛毬は最初は泪とは全く違うタイプかと思いきや、チョーコが亡くなってからの様子は泪と同じく、生ではなく死に向かって生きているように見えたかもしれない。
自分にやれることをやれる範囲でやり遂げたというところが泪とは違う部分なのかな……
それも泪が夭逝していたから故で、もしも泪が生きていればまた違った未来になったようにも思いますが。
残念だったのは毛毬と瞳子の親子のシーンが少なかったことかなぁ……
万葉からその子供達への繋がりと比べて、どうしても繋がりが弱く感じる。
でもまぁ、むしろそれは狙ってのことなのかもしれませんね。
瞳子自身も何度か話題に出してたけど、個人的にはやっぱり本来の名前、自由の方が色々しっくりくるのに。
敢えて瞳子というありふれた名前にしたのも、大きな意味があるんでしょうね。
名前というものに、或いは家というものに囚われて欲しくないという毛毬の願いが込められているのかもしれません。
そう考えれば、このありふれた名前が大事なことであるようにも思えてきます。
ともあれ、非常に面白い作品でした。
桜庭さんの作品はハズレがないのがホントに凄いね……