
「蟲と眼球とダメージヘア」
MF文庫J。 (→amazon)
完結した「蟲と眼球」シリーズの外伝というか番外編。
ある意味では蛇足としか言えない内容なので評価が難しい1冊。
「白雪姫」の終わり方が個人的には気に入っていたので、その結末を否定しかねない本作はちょっと微妙な部分も確かにあると思う。
ハッピーエンド大好きーな人にとっては嬉しい続編なのかもしれないけど、やっぱりこのシリーズは「白雪姫」のような結末が一番しっくりくる気がします。
自分がアンチハッピーエンド派ということを差し置いても、本来ならこういう安易なハッピーエンドは受け入れ難い。
ただまぁ、何と言うか世界そのものが一から改変されちゃってるだけに、単なる続編という感じはそんなにしなかったのも事実。
「エヴァンゲリオン」のTV版最終話と劇場版のような関係かな(何)
同じ作品ではあるけれど、もう一つの可能性、みたいな。
とりあえず、それなりに楽しめたので自分としてはこれはこれでありかな……
そんなわけで、本編で死んだキャラもほぼ全員生き返って、平和な世界。
そこに現れる、虐げられし蟲の女王、神蟲天皇ことダメージヘア。
「白雪姫」の感想で「蟲を統率するような存在はいないのねー」と書いたのに、ちゃんといたことに衝撃。
日日日氏自身も忘れていたようですが……それは確かにあまりにも可哀想過ぎる。
一応敵対することにはなりますが、結局のところ、可哀想という感想が似合いすぎるキャラだね。
あとはオールキャストでドタバタがメイン。
一部性格が変わりすぎてるキャラもいますが、再構築されちゃってるからそういうものなのかな。
賢木願鳳はかなりの素敵キャラになってるわけですが、おかげでただでさえ影が薄かった愚龍は完全に空気扱い。
グリコこと栗子は言動は相変わらずなんだけど、力を失って一般人となってしまったため、傍観者的位置付けが強い。
むしろ大活躍だったのが涙声(メロディアノイズ)のジョーカーと、破局(ポイズン)のブレイクサンの二人。
ジョーカーと願鳳の掛け合いは多分本作の一番の見所ではないかと思う(苦笑)
ついでに、ブレイクサンの印象深い台詞を一つ。
「あたしたちはね、神様じゃないから万能じゃないし……全知全能なんかじゃないから、ぜんぶ知ろうとか、ぜんぶ守ろうったって無理なのです。なんか難しい、ごちゃごちゃした状況だなぁって思ったら、自分のそばにいる、自分がいちばん守りたいひとだけしっかり抱きしめて、そのひとのためにできる自分のぜんぶをやるのです。そのくらいがね──人間の相応ってものです」
神の7つの欠片の一つであり、万能ではないにしろ、それに近い存在である彼女が言うからこそ納得させられてしまう。
そんなわけで、オールキャスト総出のお祭り騒ぎという感じでした。
蛇足には違いないけど、1回くらいならこういうのもいいんじゃない?と思うのでした。
少なくとも自分は「白雪姫」のラストを否定するような作りにはなってないと感じましたし。