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 空ノ鐘の響く惑星で12 著:渡瀬草一郎     【ライトノベル雑感】
2007/01/13 14:39

空ノ鐘の響く惑星で12
「空ノ鐘の響く惑星で12」
電撃文庫。 (→amazon  →bk1
「空ノ鐘の響く惑星で」シリーズ、ついに完結。
11巻の感想で「期待よりも不安の方が大きい」と書きましたが、正直なところ、これはやられた。
確かに不安要素はことごとく的中してるんだけど、それを気にする余裕を与えない怒涛の勢いでもって、終幕を迎えたというか。
多少強引なやり方ですけど、こういうのも嫌いじゃない。
とりあえず、ネタバレしまくりなんでご注意を。


やっぱりラスボスはメビウスと。
しかも、決着の付け方もお約束というか、いかにもな展開でこの辺は何とも。
まぁ、メビウス一人がラスボスになってしまった時点でこういう展開は仕方ないんだけどねぇ。
ラトロア編が始まった時点ではジェラルドも一緒に敵になると思っていただけにやっぱりメビウス&シズヤ達だけではシリーズの最終決戦として、物足りないという気持ちを抱いたり。
ウィスタル&バネッサの援軍は予想外で少し嬉しかったけど。

フェリオ(&リセリナ)を待ち続けるウルクの姿は個人的にはグッド。
やっぱり彼女にはこういう姿の方が似合って(以下略)
この辺の時の流れ方は相変わらず上手いですねぇ。
個人的に渡瀬草一郎の最高傑作という認識の「パラサイトムーン」の2巻ラストと同様に。

シズヤ達が生き残ったのはこれまでに彼女達がしてきたことを考えると、ちょっと腑に落ちない部分もあるものの。
完璧なまでに悪が滅んでハッピーエンドというよりは、これくらいの方が丁度いいのかもしれない。


エピローグ。
フェリオは結局ウルクとリセリナ、どっちも選んだんですか!
まぁ、王族だし世界観的には特殊なことではないんだけど。
それにしたってちょっと安易ではあるよなー(苦笑)
子供のことも含めて(爆死)
シアは順当な成長ぶり?
個人的には幼少期時代の彼女が好きだったような気もするんだけどね。

そして、イリスとエンジュ。
イリスは予想通りとはいえ、あまりにもストレートすぎるエピローグ。
この結末自体は納得してるんだけど、個人的にはどうにもイリスは好きになれないままでした。
結局フェリオやリセリナ達とは和解もせずに、問題をうやまやにしたまま逃げ出した、という風に取れてしまう。
エピローグでリセリナと再会させるべきだったと思うんですけどねぇ……
イリスってビジター側のリーダー的立場だったくせに、最終決戦は何をするわけでもなく、生き延びた後はエンジュといちゃいちゃしっぱなしというのはちょっと。
責任を取るべき立場にいたのだから、相応の役割を果たした上でこういう幸せは掴むものじゃないのかねぇ。
これじゃ、エンジュやパンプキン達のおかげで手に入れられた、与えられただけの幸せにしか見えないんだけど。

同じくビジター側のカトルはしっかりと最期が描かれていたのが印象的。
姿が見えず、言葉も喋らず、ただイリスに付き従ってるだけだったから印象薄いキャラだったけど、最初から最後まで自らの持つ役割だけを過不足なく果たしたように思える。
もしも、カトルも家族が向こうの世界で生きていたら、バニッシュと同じ運命を辿ることになったのかねぇ……
そのバニッシュは典型的な使い捨てキャラとなり、可哀想と言えなくもないけど、やっぱり自業自得か。
仮にめでたく元の世界へ戻れて家族と再会できたとしても、そこから幸せを得ることはできないと思うしねぇ。

そして、ラストの、ラスト。
最終巻も目立ちまくっていたパンプキンによるあまりにも絶妙すぎる幕引き。
当初は単なる敵側の一人でしかなかったはずの彼の存在感はいつの頃からか主人公のフェリオにも勝るとも劣らないくらいになってましたね……
きっちりと自分の夢を叶えて、イリスやシアを微笑ましく見ていたであろう彼のことを考えると何だか熱いものがこみ上げてくる。
確かに1巻で国王&皇太子を殺してしまったことで敵役としてのイメージが固定されたけど。
結果論から言ってしまえば、それも第4王子であるフェリオを前面に押し出すためにも必要不可欠なことであったし。
何より、アルセイフという国が実際により良くなったという結果もあるしね。
勿論国王&皇太子が生きていれば、またそれはそれで事態が変わったのだろうけど。
ともあれ、個人的にこの作品のMVPはパンプキンを選出したいところ。
ストレートすぎてもうちょっと変化が欲しかったフェリオとは対照的に、様々な変化を見せてくれた彼がいたおかげで、最後まで(色々と)破綻せずに物語が進められたような気がします。

そして12巻という長編(と言っていいよね?)シリーズを完結させた渡瀬草一郎氏にはお疲れ様、と。
長編シリーズできっちり完結させた作家って最近はあんまりいないですからねぇ(爆死)
そういう意味でも貴重な作家だと思いますよ。
このシリーズが始まってからは本作一筋だったのも好印象。
下手に途中で新作(シリーズ)とか出されると萎えますから(苦笑)