> 名村哲平と桐沢弥生。
> 二人はコンビニで出会い、そして「非日常」の扉を一緒に開けた。
> 彼らが迷い込んだその先は、時間が一日ずつさかのぼっていくという「フリップ世界」だった。
> 毎日過去に戻されていく名村と桐沢は、悩み、苦しみ、励まし合い、笑い合って、なんとか出口を模索しようとするが…。
> そんな二人の様子を、真っ黒な少女がずっと眺めていた。
> フリップ世界に囚われた少年少女の物語。
今回も冒頭の作品紹介より転載。
前回との一番の違いは何と言っても構成でしょうか。
短編4つ+αというのがお決まりなのかと思いきや、今回は中編+α(何)って感じでした。
1本の登場キャラ完全新規の中編と、前回登場したキャラの一部が再登場するまとめ編の二つ。
まず、新規キャラの話の方から。
大まかな内容としては前回の短編と同じような感じで、特殊な状況下でどうしようかーみたいな展開。
一つの話のボリュームとしては前回と比べて随分増えてるはずなんだけど、そう感じさせないのは利点なのか否か微妙なところ。
フリップ世界というのは前回のリピート世界よりもレアというか、言葉自体、オリジナルですかね?
検索してもこの作品くらいしか出てこないし、どこから持ち出してきた言葉なのか激しく気になりますが。
ともあれ、1日づつ時間を遡って行くという設定は面白い。
ヒロインである桐沢の方が記憶が曖昧になっていくという描写も相まって、前回のリピート世界よりも悲壮感というか焦燥感が強く感じられるのがポイント。
ラストは結局どうして元の世界へ戻ってこれたのか謎なままですけど、その辺はもう一つの話も絡めることで多少は推理というか想像できそう。
で、もう一つの話と、エピローグ。
まだまだ推測の域は出ないものの、概ね事態の方向性は見えてきた感じか。
いわゆる元世界の定義、どこにそれを定めるかによって見え方が違ってきそうですが……
「スプリット宇宙」も作者の造語っぽいですけど、いかにもありそうな言葉の利用が上手いね。
ていうか、この辺の小難しい専門的な話が出てくるとライトユーザー(という言い方は微妙に間違ってそうだけど)には辛くなってくるような気もしますが、どうなんでしょう。
前回はまだその辺の設定に関する部分が曖昧だったから、読み飛ばしても問題なかったけど、その部分が主題となってくると楽しめる層が若干限られてきそうな気もしないでもない。
個人的にはどんどんやってくれ、って感じなんですけどねー(苦笑)
今のところは特に矛盾(というか破綻)も見られないし、上手くやってるという印象で続きが非常に楽しみ。
こうなってくると、どこまで続けるのかというのも気になってくるところですけどね。
構成に関しても次回以降また新しいキャラを登場させるとなると、キャラの数が増えすぎる恐れもあるし。
その辺のバランス調整に失敗しなければ、名作となりうるかもしれない、そんな期待を抱かせてくれる作品であることは間違いないです。
とりあえず、並行宇宙とか、その辺のSF設定が好きな人には激しくオススメ。
作者の他の作品にも興味が沸いてきました。