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 ニンギョウがニンギョウ 著:西尾維新     【ライトノベル雑感】
2006/08/10 06:46

ニンギョウがニンギョウ
「ニンギョウがニンギョウ」
講談社ノベルス。 (→amazon  →bk1

映画を見に行くことになったのは妹が死んでしまったからだ。私は平素より視覚情報に関しては淡白を貫く主義なので、映画を見るのは実に五年振りのこととなり、妹が死んだのも、矢張り五年振りだった。回数を勘定すれば、共にこれが四回目である。映画を見るのは妹が死んだときだけと決めているのではなく、逆であり、妹が死んだからこそ、映画を見るのだ。そうはいってもしかしこうしょっちゅう死なれては私としても敵わない。日ごろ大きな口を叩いている友人達に合わせる顔がないというものだ。私には合計で二十三人の妹があるけれど、死ぬのはいつも、十七番目の妹だった。

冒頭を書き出してみたわけですが、まぁ早い話が電波系。
ただし、これは個人的に非常にレアだと思ってる拡散型なんですよね……
以下、かなりどうでもいい主観的な解説。


電波系と呼べるものには大きく分けて二つのタイプがあり。
一つが収束型。
一つ一つはバラバラで何の意味も持たない(ように見える)ものの、最終的には一点に収束するタイプ。
いわゆる電波系の99%がこのタイプ。
そして、もう一つが拡散型。
一つ一つのバラバラな点が最終的にどこかに収束することなく、拡散し続けるタイプ。
何故レアかと言うと、自分が体験したことのある電波系の中でこのタイプに分類される作品が(すぐに思い出せる限りでは)一つしかないため。
ちなみに、その作品とはTacticsの「MOON.」の終盤の一部。
プレイしたことのある人には「すのこ」な世界と言えば一発で通じるかと。
収束型と拡散型の最大の違いは、ストーリーが存在するか否か、だと思います。
「MOON.」の場合は全体としては当然ストーリーはありますけど、すのこの世界だけは意味のないループが繰り返されるだけで他に何もないですからね。
以上、どうでもいい解説終了。
ちなみに、これは個人的解釈というか、自分が適当に考えただけの設定ですので(何)


で、これは非常にレアな作品だと思います。
上の解説の通り、この作品にはストーリーがないんですよね。
他に比較できる作品がないので、「MOON.」を例に出しますけど。
あの、すのこの世界が最初から最後まで延々と続く様子を想像してもらえると非常に分かりやすい。
不条理系の極まった感じとでもいうのかね。

一応、話の流れを書き出しておくと。
1話が十七番目の妹が死んだから映画を見に行く話。
2話が右足が腐り始めたので治療できる人のところへ行く話。→実は右足は妊娠していた。
3話が五年ぶりに目覚めて買い物に行く話。→買ったものは喪失感。
4話が二十四人目の妹に会う話。

ラストでは二十四人目の妹だと思っていたのは、実は姉だったというオチなのかよく分からないどんでん返し?がありますが。
まぁ、一番目の妹は妹でありながら年上だったりするので、姉だからどうだという話でもないんですけど。


そんなわけで、西尾維新という作家が好きでとりあえず買ったという人にとっては、たった一言「意味不明」という言葉で言い表せる作品なのではないでしょうか。
やたら特殊な装丁で140ページしかないのに、¥1500くらいします。
ぶっちゃけ、普通の人はこの作品に¥1500の価値を見出すことは出来ないと思うので、西尾維新の作品は全部集めたいという人以外は買わない方が無難。
個人的に、これはありだと思うんですけどね~(苦笑)
こういう意味不明なことを実際にやってしまえる西尾維新という作家には他の作家にはない魅力を感じます。