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 夏月の海に囁く呪文 著:雨宮諒     【ライトノベル雑感】
2006/07/29 18:33

夏月の海に囁く呪文
「夏月の海に囁く呪文」
電撃文庫。 (→amazon  →bk1

発売は去年の末くらいだったかな……
随分放置してたわけですが、巡回先で感想見かけたのでこれは便乗するしかないな、と(何)

内容は4つの話からなる短編連作モノ。
デビュー作である「シュプルのおはなし」も同じような短編連作モノですが。
今回の作品は夢久島という一つの島を舞台に、夏という季節が固定されているおかげで「シュプル」よりも非常に上手くまとまった作品になってた気がします。
電撃では珍しくなくなったイラストが全くないのも特徴か。

4つの話が収録されているわけですが、印象としては二つの大きな話+二つの補足、みたいな感じ。
ボリューム的にも印象的にも明らかに、1・2話がメインで3・4話はサブっぽい。
ただまぁ、何と言うか、地味にネタバレになりそうなんですけど、これって何気に対比になってるようにも受け取れるんですよね。
1話では今は島に残ったにしろ、いずれ出て行くつもりなのは間違いなく。
2話は島の住人じゃないから、出て行くのは当たり前として、新しい道(世界)へと歩み出した感じで。
それに対して、3話と4話は最終的に島に、ここ(今いる場所)に留まるという選択肢を選んでいて。
一番描きたかったであろうことを1・2話で描ききってると思うので、やっぱり3・4話はその補完にすぎないというのが個人的な感想。

一番好きな話は王道大スキーな自分ですから、もちろん2話ね。
こういうストレートな「ちょっといい話」は大好きです。

1話は読み始めた時に主人公の修一がどうにもエロゲ主人公っぽすぎたのが痛かった(爆死)
世界に、周りの人間に興味を抱かず無関心である。
にも関わらず何故か女の子から片思いされちゃうというのは、リアリティ皆無。
心境に変化のあった2話以降にモテはじめるならまだ理解できるんだけどねぇ。
正直1話開始時点での彼は人から好意を向けられるに値する人間じゃないと思うので。

あと、4話は主人公が犬なんですけど、何故か凄い勢いで敬語なのがツボりました(何)
微妙に子供チックな文体になってますけど、この作者は元々そういうところあるしね。


というわけで、1巻完結の短編としては悪くない出来。
相変わらずびっくりするくらいに読みやすい文章も素敵。
読むのが遅い自分でも2時間程度で読み終わるボリューム。
息抜きに読むには最適すぎる作品ですね。

インパクトのある作品でもないから売り上げ的にどうなんだろうなーと思わなくもないですがっ!
こういう作家は非常に貴重なんですけどねぇ……
まぁ、電撃ならそうあっさりと切られることもないかな。
これが某富士見だったりすると、おそらく次回作はなさそうですが!(爆死)