
「ボクのセカイをまもるヒト」
電撃文庫。 (→amazon →bk1)
電撃での谷川流氏の扱いがよく分かる1冊?
あとがきにて「何を書いてくれてもかまいません。 今まで出したやつの続刊でも、まったく違う新しいやつでも」と言われて書いたのがこの作品ということらしいですがー
ここまで自由に好きなようにさせてもらえるのは、かなりの待遇なんじゃないのカナ。
「学校を出よう!」は一部(特にネット)でこそ評判ではあるものの、売り上げで言えば間違いなく「ハルヒ」シリーズの方が上なのにも関わらず、電撃編集部にこれだけ優遇されてるのは「ハルヒ」看板のおかげなんですかねぇ。
兎にも角にも、そんなわけで新シリーズ?
続刊という話はどこにも書いてないですけど、電撃の新しい雑誌(電撃マ王)で短編の連載が始まるらしいんで、シリーズ化しそうな雰囲気。
きっちり終わってるんで、連載の短編をまとめたものが今後刊行されるだけなのかもしれないけど。
(要するにこの作品はその短編のプロローグ的扱いなのかも?)
内容的には……うーん、何ていうか。
「電撃!!イージス5」っぽい作品か。
「絶望系」のような要素も少なからず感じ取れるけど。
簡潔に言うならば、谷川氏のわりとやる気ない方に分類される作品です(爆死)
何がやりたいのか分からない、ではなく。
何もやろうとしていない作品。
いかにもな記号的キャラ(記号そのものと言ってもいいかもしれない)が、創られた世界の中で動き回るという構図は「絶望系」と同じ。
ただ、その記号的キャラが分かりやすい萌えになってるので、パッと見は「イージス5」の雰囲気に近い。
ストーリーについてもキャラに関しても特に何を思うでもなく、何だろうなぁ。
ストーリーを楽しむでもなく、キャラの動きを楽しむでもなく。
世界の有り様を楽しむ作品……か。
説明が難しいですけど、少なくとも自分にはストーリーは0点だし、キャラも0点。
ただ、この谷川氏の描く「世界」だけは相変わらず秀逸で。
そこを楽しめるか否かがこの作品の評価のポイント。
えぇ、ぶっちゃけ一般的な視点で客観的に評価すると、酷いですよ、これは(爆死)
普通に面白くないですからねぇ(核爆発)
キャラがそこそこ魅力的だったと思えなくもない分だけ「イージス5」の方がマシ。
自分は谷川氏の作品は全部読みたいと思うくらいには谷川信者であるつもりですけど、彼の作品を全肯定するほどの狂信者ではないので、ダメな場合ははっきり言います。
とりあえず、「絶望系」「イージス5」の両作品がダメだった人には更にダメダメになったとしか思えないでしょう。
既に両作品を読んだことのある人なら理解してると思いますけど、「ハルヒ」や「学校」シリーズとは全く別種の作品です。
電撃マ王みたいな雑誌で連載が入るって時点でもう色んな意味で終わってると思いますけどね。<別に電撃マ王を批判したいわけじゃないですよ
電撃hpのようなラノベ雑誌ならまだしも、漫画メインだったりする雑誌での短編小説の連載は、大抵が分かりやすい萌えを散りばめただけの中身のない作品になると思っていますので、自分は。
谷川信者ですからね、続刊出るなら買いますけど、このまま続けても「イージス5」とどっこいか、それ以下の作品にしかならないでしょうね~
フォロー入れる必要もないとは思うけど、個人的に気になった点だけ挙げておきます。
まず、主人公の姉、朝凪津波。
彼女だけメインの登場人物の中で一人だけ巻頭のカラーイラストも作中の挿絵も全く存在しない。
しかも、作中で自分は「装置」であるということを認識しているような素振り。
簡易説明。
装置とは、作品の中で物語を円滑に動かすための役割を持ったモノ。
極論を言えば、全ての登場人物がそういう役割を持つならば、全ての登場人物は装置であるとも言える。
ただ、その程度の差によりその役割の比重が大きい場合を特に「装置」と呼ぶ。
「装置」と呼ばれるキャラは無駄な人格を持たず、無駄な行動をせず、無駄な台詞を吐かない。
ただただ、物語を進めるためだけに作品内に存在する。
以上、説明終了(何)
早い話が便利屋ってことなんですけどね。
戦いに巻き込まれて家が全壊した、どうしようか。
戦いでヒロインが大きな傷を負ってしまった、どうしようか。
そういう物語が止まる部分においてのみ現れて、次の道を示し、去っていくだけの存在。
彼女の場合は既に物語の全容を把握しているがゆえに、端的に全ての準備を整えて登場するのが珍しいと言えば珍しいかも。
まぁ、だからどうというわけでもないんですけどねぇ。
あと、8つの世界があって、それぞれが対立してて、それはとある事情で世界が一つになってしまうためで……云々という部分はいかにもSFらしいと言えるのだけど、だからどうというわけでもないのが何とも。
(そういえば、電撃の某分厚いシリーズにちょろっと似てなくもない設定ですね)
ていうか、プロローグとエピローグ見る限り、完膚なきまでにこの1冊で終わってる気がするんですけど、連載が始まったという短編はどんな内容になってるのかね。
それと、全くもってどうでもいい話で、作品の内容とは関係ないんですけど。
「ボクのセカイをまもるヒト」というタイトルは中々に興味深いです。
ここでのセカイというものを、いわゆる個々人の世界であると解釈して。
つまり、人の数だけそれぞれのセカイがあるとして。
「ボクのセカイ」を守るということがどういうことかというと、他人のセカイから侵食されないということだと思うのですよ。
通常、自分のセカイと他人のセカイは交じり合ってはいないわけですけど、交流があれば二つのセカイは交わり、侵食されることもあって。
「ボクのセカイ」を守るということはそういった全ての侵食を妨げるということであり。
つまり、友達や家族や恋人や、そういった繋がりを断つということであると思う。
この主人公の場合、姉がいますけど、彼女は完全に装置としての役割しか果たしておらず、ゆえに家族でありながらも主人公のセカイとは一切交じり合ってないので除外されてるだけで。
作中での主人公の仲の良い(良かった)友達の扱いを見ても、それがよく分かるはず。
守るという言葉からは良い意味しか受け取れないように思えるけど、実際にはそうでもないよなーと。
そんな益体もないことを考えてしまいました。