
「蟲と眼球とテディベア」
MF文庫。 (→amazon →bk1)
日日日氏の5作品目。
ファミ通文庫の4作品目な奴は何故か買ってなかったので、先にこっちを。
で、感想ですが。
これは……なんだろうなぁ(苦笑)
一般受けするかしないかで言えば、あんまり一般受けはしなそうだけど。
そもそもテーマが限りなく不透明。
何を描きたかったのかが伝わってこないというか、むしろ伝える気を放棄してるようにも見えなくもない。
谷川流氏の「絶望系」とか。
あそこまで極端ではないにしろ、これも作者のオナニーと言って差し支えないかも。
自分はわりと嫌いじゃないんですけどね、こういうの。
タイトルもそうですけど、悪質なセンスを感じる(爆死)<褒め言葉ですよ?
ストーリーに関しては上のようなわけで、不条理系というか、何かよくわからんというのが正直なところ。
しかし、このラストはぶっちゃけ……どうなのかね?(苦笑)
この手の話でこういうなし崩し的なハッピー(救済)エンドにしちゃう必要性が理解できないというか。
あぁ、でもアレか。
「ちーちゃんは悠久の向こう」と一緒で全て解決なハッピーエンドでもないのか。
あっちと比べると後味の悪い終わり方ではないから、一瞬忘れそうになるけど、こっちも相当にヘヴィな未来になるんだよね……
キャラに関して。
眼球抉子(がんきゅうえぐりこ)に尽きると思う。
ネーミングセンスは相変らずっていうか、ここまで来ると子供が考えそうな頭の悪い名前だよなって気もしないでもないですが。
ちなみに、彼女の特技はスプーンで眼球を抉ることで、愛称はグリコです。
更に言えば、エピローグのタイトルが「グリコのおまけ」です。
えぇ、狙ってやってるんでしょうけど、こういうの大好きです(苦笑)
主人公の教師である賢木愚龍(さかきぐりゅう)と、その生徒でヒロインでもある宇佐川鈴音(うさがわりんね)はインパクトの差でグリコに完全に負けてます。
ていうか、よくよく考えると表紙はグリコなわけで、最初からグリコがメインの物語なのか。
ストーリーが微妙な原因は表向き主人公格なこの二人の存在のような気もする。
本当に、最初から最後まで周りで起きたことに巻き込まれただけで自分たちでは何にも行動してないから、感情移入とか不可能だし。
主人公であるはずなのに、単なる被害者として描かれてしまっているので、どうにも個性は薄いし、魅力が感じられない。
宇佐川鈴音(うさがわりんね)を略して、うさりん閣下と呼んでたりと美味しい要素は結構あったりするんですけどね。
(挿絵も相まって、うさりん閣下はかなり萌えキャラ)
何で閣下なのかは皆目検討もつきませんけど(爆死)
でも、閣下って呼ばれる女子高生は萌えますよね?
もう少しだけストーリーに触れておくと。
アダムとイヴと、エデンの林檎に関するあの有名な神話をアレンジして独自の設定で動かした物語というのが簡潔なストーリー紹介になるかと。
ありふれた、使い古された設定なので新鮮味はないですけど、分かりやすいことは分かりやすい。
ただまぁ、だからどうこうという話でもないんですけど(何)
結局、テーマとしてはグリコの成長(という言葉とはちょっと違う気もするけど)物語でファイナルアンサーなのかなぁ。
結論。
これまでの日日日氏の作品が好きなら読んでおいて損はないけど、特別な思い入れがない人にはあんまりオススメできない作品。
でもまぁ、多才というかネタが豊富ですよね、この人。
「アンダカの怪造学」と「狂乱家族日記」はシリーズモノとして続いてますけど、1巻完結の作品はこれで3つ目。
まず一つの作品を書ききってこそ、ようやく新人を卒業だと考えている自分からしてみると、もう既にこの人は新人とは呼べないですな。
作品ごとにネタを使い分けてるのも素晴らしい。
ファンタジーならファンタジー、SFならSF、学園モノなら学園モノと、一つのネタで様々な作品を書き上げてる人もそれはそれで凄いんですけど。
日日日氏の場合は確固とした共通の雰囲気を持たせつつ、毎回全く違う物語になってるのが凄いなぁ、と。
好き嫌いは分かれるかもしれないけど、個人的には今年デビューした作家の中ではダントツでお気に入りです。
ていうか、デビューしてから10ヶ月で既に7冊ってのは異常ですよね(爆死)
そのほとんどはデビュー前に書き上げてたとはいえ。
逆にこれだけの作品を書き上げてデビューしたということが凄いのか。