
「ひかりのまち nerim’s note」
電撃文庫。 (→amazon →bk1)
第11回電撃小説大賞<金賞>受賞作。
発売されたのは2月です、半年前です(爆死)
大賞受賞作である「ルカ」がごくごく普通の内容だったので、こっちはどうだろう?と思ってましたが、これは「ルカ」同様に無難な感じ。
好みでいえば、あっちよりも好きですけどね。
以下、ちょいとあらすじ。
険しい山々に閉ざされた街パラクタに夜だけが続く日黒期がやってきてひと月。
高等部に通うネリムは、この日黒期という現象と、六年前の「森の神隠し事件」による兄の失踪に疑問を感じていた。(以下略)
最初はいかにもな架空世界だと思って読んでたんですけど、いやはやこれはやられた。
夜が続く理由ってもっとフィクション的なものだと想像してたのに、こう真正面から来られるとは思いもよらず。
仕掛け自体はそう凝ってるわけでもないんですけど、隠されていた真実のベクトルが意外でした。
正直なところ、色々と疑問が残る部分もあるのも事実だけどこういう新鮮な展開は嫌いじゃないね。
ただまぁ、全体の構成とかに関してはやっぱり新人の作品。
致命的な欠点こそないものの、気になる部分は多いし。
何より、ここが一番の見せ場だ!っていうのがないのが痛い。
欠点は見ないことにも出来るけど、盛り上がる見せ場がないことにはどうにも消化不良になりがち。
「あーあ、これはちょっとなぁ」と思ってしまった最大の欠点はあとがき。
ほぼ続編が決まっているらしいという記述を見て微妙な心境に。
うーん……この結末からすれば続編が出ることは問題ないんだけどね。
主人公が色々な街を見る旅に出るという終わり方だから、次は新しい街での出来事を書けばいい。
そうなんだけど、そうなるとこの「ひかりのまち」ってタイトルが曲者。
これって、今回の舞台となったネリムの生まれ育った街のことなわけで……
(おそらく)続編の舞台とは全く関係ないわけじゃないですか。
それなのに「ひかりのまち2」とかで発売されるのは凄く違和感があるんですけど。
昨年の電撃小説大賞<大賞>受賞作の「塩の街」の続編が出たとして、登場人物は変わらないけど、既に塩の脅威はなくなった世界が舞台って言われても「えぇー?」って思うのと一緒で。
少なくとも続編の可能性があったなら、このタイトルは変更しておくべきだったなぁ。
キャラに関して。
主人公ネリムの兄がかなりの素敵キャラかと思ったら演じてるだけで、ちょっとがっかりというか、まぁこんなもんかな。
実際、ライトノベルで黒い人間ってそんなに出てこないですよね。
黒そうに見えて実際は……ってキャラなら腐るほどいそうだけど。
あとはストーリーに主人公の初体験(性行為)を盛り込むのが目的だったらしく、そういうシーンもあるものの、今時のラノベはそっちの描写も結構際どいのあるから、どうにも目立つ特徴になってないというか。
作者としては「ライトノベルに性行為の描写を入れる」というのは大胆な行為なのかもしれないけど、読み手からすればそんなに珍しいものでもないし、特に特徴的でもなければ普通にスルーされるのに。
とりあえず、佳作レベルかな……
面白かったけど、なんか物足りない感じ。
続編はマジで微妙かもしれない(苦笑)