
「私の優しくない先輩」
碧天舎。 (→amazon →bk1)
碧天舎の「恋愛小説コンテスト ラブストーリー大賞」受賞作。
日日日氏のデビュー作?
「ちーちゃんは悠久の向こう」の方が早いという話もありますけど、まぁ、どっちでもいいか(爆死)
とりあえず、幾つかの感想を見ていた限りでは、「ちーちゃん」>「優しくない先輩」という感じだったので、さほど期待はしてなかったんですけど、意外や意外、これは結構好きかもしれない。
まず、ハードカバーではあるけど140ページ弱と、文章量があまり多くないのがポイント。
物足りないという感想もあるみたいだけど、個人的には十分描き切れてると思うし、特別短すぎるという感じはしなかったです。
値段が1300円するので、その(値段の)わりにボリュームが足りないと思う人もいるかもしれないけど、個人的には面白ければ2000円で100ページ以下でも問題ないと思う人なので。
量的なコストパフォーマンスを期待する人には向かないでしょうね。
で、内容。
読んでいて思い浮かんだのが、桜庭一樹さんの「推定少女」と、佐藤ケイ氏の「LAST KISS」の両作品。
少女二人の交流なシーンとかは前者に近いものがあるような感じで。
後半の死が目前に迫った中での恋心の描写あたりは後者に微妙に似てる気がしたり。
とりあえず、良かったと思うところ。
ラストシーンの描き方が上手いっつーか、個人的に大好きだなぁ。
というか、結局のところ、自分はこういう”死にゆく者の恋愛”というものが大好きなんだろうな、と思う。
「二人が結ばれて幸せ、ハッピーエンド」という結末よりも。
良かったところ、二つ目。
「ちーちゃん」でも思ったことですけど、文章が滅茶苦茶上手いですよね、この人。
読みやすさ・分かりやすさが新人とは思えないレベル。
特に今作は主人公が女の子なわけで、やっぱり女の子視点の描写というのは、圧倒的に女性作家の方が上手いと思うのですよ。
でも、この人の場合、上でも挙げた「推定少女」なんかと比べても、そういう描写がごく自然な感じで。
一言で言えば”多才”ってことなのかなぁ。
一方向だけに優れているわけじゃなくて、多方面に優れているというのが多数の賞を受賞している理由なんじゃないかと。
良かったところ、三つ目。
タイトルにもなっている”私の優しくない先輩”こと不破風和(ふわふうわ)というキャラ。
ネーミングは西尾維新氏とか、そっち系の影響をモロに受けまくりな感じですけども。
あぁ、そう言えば主人公の女の子は西表耶麻子(いりおもてやまこ)で、まぁ、こっちも狙いすぎと言えなくもないネーミングではあるね。
おそらく、イリオモテヤマネコが由来なんだろうけど、絶滅寸前と言われる動物と、余命幾ばくもない少女というのを掛けてるのかな……
先輩に話を戻して。
これが非常に良いキャラなわけですよ。
ラストこそ、ちょっとばかりありがちなパターンではあるけれど、それでも自分はこういうキャラは大好き。
人の迷惑を考えてなくて、ただただ自分のしたいようにしてるように見えて。
実際は誰よりも他人のことを考えているという。
あと、耶麻子もかなり好きなタイプ。
微妙に(病気という背景もあるのかもしれないけど)鬱病入ってるとこなんて最高。
何ていうのかな、ぷち自虐系というか(何)
先輩に対しては大嫌いと言いつつも、きちんと敬語で会話してるとことかも良いし。
下のような、皮肉というか、屁理屈もわりと好き。
てか、こういう独白な部分は物凄いくだけた調子になってるのもいいなぁ。
高校入学試験の面接で『この高校に入って何をしたいと思いますか?』と質問されて『やりたいことを探します』と答える人間のなんと多いことよ、禅問答みたいに矛盾した解答をどうして真顔で言えるのか。 やりたいことを探したい──って意味がわからんよ。 やりたいことを探すことをやりたい? なんなんですかそれはもしかして深い意味のある冗談なんですか? そんな『探したいものを探す』みたいなファンキーな戯言は寝てから言え。 時間稼ぎに高校を利用するな。
とまぁ、良いところはこんなところかな。
あと、微妙かなーと思った点も幾つか。
南愛治というキャラが中途半端。
別に彼はメインでもない(爆死)から、中途半端でも良いと言えばそうなんだけど。
まぁ、ラストで出番がないことからもやっぱり単なる脇役に過ぎないから、こんなもんなのかなぁ。
もう一つ、やっぱりハードカバーは疲れるねぇ(苦笑)
ハードカバーを愛読してる人はどうやって読んでるんだろうか……
自分は寝転がって、本を両手で持って読んだりする時が多いので、ハードカバーだと10分も経たずに手が疲れてダウンですよ。
普通はそんな読み方はしないって言われそうですけど、ラノベだとそういう読み方が可能なわけで。
自分としては致命的と言ってもいい欠点なんだけどなぁ(苦笑)
とりあえず、個人的にはわりと満足できる作品でした。
値段相応の価値があるかどうかは人によると思いますけどねぇ。
「世界の中心で愛を叫ぶ」っぽいと言ってる人もいたけど、もしも、そうであるならば、自分はセカチュー気にいるかもしれない(爆死)
読もう読もうと思ってなかなか機会がなかったんだけど、これを機にあっちも読んでみようかなぁ。
ともあれ、現時点で日日日氏の作品は2作品しか読んでないのですけど、個人的にはどちらも当たりでした。
既に新作が2つほど出てるみたいなので、なるべく早めにそっちも読んでみようと。