
「真実の扉、黎明の女王」
富士見ファンタジア文庫。 (→amazon →bk1)
デビュー作の「約束の柱、落日の女王」が個人的にクリティカルヒットな出来で。
ただ、最後がきっちり終わってただけに続編はどうなのかなぁ?と期待半分、不安半分でしたが。
正直言って、不安な点がことごとく的中してしまったなぁ……
あれだけ素晴らしく終わっていた物語に、敢えて続きを書く必要はあったのかね。
今回の話は簡潔に言うと、前作のヒロインであるクリムが、カルロの戻ってきた時代に転生してて二人は再会という感じなのですけど。<ネタバレ気味
なんというかなぁ、言葉は陳腐だけど、前作のラストで悲劇的な別れを描いて、それでも二人ともが前向きな形で終わっていたのに、あっさり再会というのがね、もうダメ。
これって遠まわしに前作のラストを否定することになってるような気がするのは自分だけですかねぇ。
というか、転生はいいとしても、クリムと(今作のヒロインである)クレアとの差別化が微妙すぎて。
転生で元となる魂が一緒だから、同一人物なの?
何かね、クレアがカルロに惹かれる理由がクレア=クリムだから、という感じで描かれてる気がするのが一番気になったり。
そこはむしろ、クリムは関係なく、クレアとしてカルロが好きという、そういう風になるべきじゃないのかなぁ。
まぁ、そうするとカルロ的にはクレアを好きになることは不可能なのかもしれないけど、むしろ、その方が自然であるように思えたり。
いやまぁ、二人が再び!ってのを描きたかったんだろうから、作者的にはこれで正解なのかもしれないけどね。
でも、一人の読者としてはイマイチ納得できかねる展開。
以下、凄い皮肉っぽい意見なので、普通の人は見ない方がいいかな(苦笑)
仮にその時代で死んでも魂は転生して、次の時代でも「必ず」二人が再び巡り会うというのは自分からしてみると、良いこととは思えないんだけど。
要するに、その人以外を好きになることはありえなくて、どれだけ時を繰り返しても永遠に同じ人しか好きになれないというのは……地獄じゃないかと思う。
永遠に続く輪廻に囚われてしまっているようで、自分はどうも好きじゃない。
未来を自分達で作り上げることが出来ず、「運命」というものが勝手に未来を決めてしまっている気がするんだけど。
まぁ、こんな風に考える自分があまりに捻くれてるだけなのかもしれませんが(苦笑)
そんなこんなで、自分の意見としては「これなら続編は出さない方が良かったかも」なわけですが。
それでも、相変わらずストーリー展開自体は悪くないので、この作者さんには早いとこ新作を出して欲しいところ。
(もちろん、このファンタジー路線は継続でお願いしますw)
なんて思ってたら、次の作品は「平和の鐘、永遠の女王」というタイトルで……
えぇ、タイトル見れば分かるとおり、またしても続編らしいです(汗)
公開されてる表紙のイラストがカルロ&クレアなことから、時代は変わらずみたいですが。
これでホントに完結にして欲しいよなぁ(苦笑)
今回は今の時代に生きるクレアへのクリムからの繋ぎという感じだったので、まぁ、もう1回くらいなら許せるけど、もしも、更に続きますとか言われたらかなりショックですよ。
ちなみに、ここまで批判ばかり書いてますけど、もちろん良いとこも皆無だったわけじゃなく。
個人的に一番好きなのは、お決まりだけどジシェルね!
いや、もうあまりにもお約束すぎる展開なんだけど、自分はこういう王道に弱いのですよ。
キャラとしてはそれほど好きなタイプじゃないんだけど、こうしっかりした役割があるキャラは大事ですよね。
欲を言えば、もうちょっとクレアとの(カルロに関する)会話が欲しかった気もするけど。
まぁ、中盤のあたりは及第点。
……って、思いつく良かったところってこれくらいしかないや(爆死)
結論。
綺麗に終わってる物語は、綺麗に終わらせておくのが最善であり。
いくら続きが書けるからって、ほいほいと続編を出すとこういうことになっちゃうんだ、という典型的な作品。
「銀盤カレイドスコープ」の3巻を二回りくらい微妙にした感じを想像してもらえると分かりやすいかと(爆死)
「銀盤」よりも”続きなんて出さなきゃ良かったのに”感が強いのが痛すぎる。