
「Dクラッカーズ7-2 王国-a boy & a girl-」
富士見ミステリー文庫。 (→amazon →bk1)
シリーズ完結。
「やっぱりなぁ」というか、7-1と7-2という風に分冊してしまった弊害がモロに見受けられて、その点だけちょっと残念。
7-1巻の中盤以降の怒涛の勢いのままフィナーレを迎えてたら……と思うと、ね(苦笑)
ただ、分冊したことが悪いことばかりかと言うと、そうでもなく。
分冊したことによる利点も確かにあると思う。
それが、巻頭のカラーイラスト。
7-1巻での女王と景という構図が、7-2巻では梓と景という構図に変わってます。
で、この対比が非常に面白いなぁ、と。
7-1巻で女王と一緒にいる景は青いウィンドブレーカーを着てて、要するに「景」としてというよりも「ウィザード」として一緒にいる感じで。
それに対して、7-2巻での景はウィンドブレーカーを脱いでるんですよね。
つまり、こっちはウィザードとしてではなく、景として梓と一緒にいる、と。
こういう対比が出来たのは分冊したからこそで。
数少ない分冊したことによる利点ではないかと思います(苦笑)
で、内容……に関してはまぁ、概ね予想できたものだったので省略。
甲斐が駆けつけるシーンとかは良かったですけど、やっぱり勢いがね、ちょっと足りない。
あとは、ベルゼブブと千絵の論議というか、言葉の応酬はやっぱり興味深かったかな。
というか、自分はこの作品のキャラの中ではダントツで景が好きで、それに続くのが千絵と梓とベルゼブブなんですよね(爆死)
甲斐とかももちろん嫌いじゃないけど、ベルゼブブの方が色んな意味で印象的。
それと、ラストまで読むと、ここまで諦めの悪い奴もそうお目にかかれないよなーというバールもお気に入り。
完膚なきまでに失敗に終わって、普通はわざわざ敵側の様子は描写する必要もないのに。
「俺はまだ生きている。 必ずもう一度、お前らを現世に呼び戻してやる。 永眠なんかさせないからな。 地獄のどの層でもいい。 耳を済ませて、俺の合図を待て」
もうね、最高に馬鹿ですよ、こいつら(苦笑)
何この諦めの悪さ(笑)
千絵とかも言わずもがな諦めが悪いですけど、こっちも相当。
敵役としてここまで魅力的な奴らはそういないです。
皆見茜と甲斐氷太。
多分、この別れ(?)には賛否両論あると思うけど、個人的には悪くない結末だな、と。
物語的なハッピーエンドを優先するなら、他の結末もありえると思うけど。
甲斐の生き方を優先するならば、茜と一緒に……という結末は残念ながらありえないと思うので。
茜は完全には納得してないと思うけどね。
ただ、この二人にとってはこれが最上の結末だったように思う。
ま、茜もなんだかんだで強い人間だと思うし、甲斐への想いがある限り、進み続けるでしょう。
海野千絵と水原勇司。
何となく、この二人に関しては書き方が曖昧で、特別な関係には見えないんだけど。
一応、景と梓、千絵と水原という形に収まるのかね?
恋人ともペアとしても、微妙な気がしてならないんだけど(爆死)
むしろ、千絵のペアは梓という印象が強いし。
恋人というほどではないみたいだし。
何とも関係が中途半端な気がするけど、まぁ、それはそれでありなのかなぁ。
ここで一気に関係進展というのもちょっとあからさま過ぎるし。
物部景と姫木梓。
やっぱ、この二人はいいよねぇ……
景は水原や千絵あたりと話してる時はわりとクールというか、嫌な意味でなく、冷徹な雰囲気があるのに。
梓と二人っきりでの会話となると、途端に会話の年齢ががくっと落ちる感じで(謎)
下の会話とか、もうニヤニヤしっぱなし(爆死)
「わたしに優しくすること」
「…………」
「わたしを大切にすること」
「……なぁ、梓ちゃん。 ちょっと言っておきたいんだが……」
「わたしを慈しむこと」
「……わかったよ。 はいはい。 優しく、大事に、慈しみます。 まったく」
梓の言い方もかなりアレだけど、景の反応があまりにも純情すぎて最高です(爆死)
この後、目をつむってと言ってきた梓に対して「嫌だ。 君が、目を閉じろ」という、ここぞという時には強気な反応も更にナイス。
あぁ、やっぱり景はいいなぁ……
そんなこんなで、これで「Dクラッカーズ」本編は終了。
まだ外伝(短編集)の方が2冊残ってるんで、そっちはそっちで楽しみですが。
とりあえず、個人的には6巻と7-1巻で一気に評価が変わりましたね。
立ち位置的に作品の主役ではない千絵の孤独な活躍によって、未来を切り開いていくあたりが特にツボでした。
この手の作品ではどうしても主役(この場合、景と梓)をメインにして描いてしまいがちなだけにね。
一見脇役に見えるキャラが大活躍というのは非常に美味しい。
7-2巻もわりとしっかりまとめてあるしね。
シリーズ全体として見れば、名作と言っていいかと思います。
というか、この作品ってキャラとストーリーの比重が絶妙ですよねぇ。
大抵はキャラがストーリー(&設定)か、どっちかに比重が偏るものなんだけど。
この作品はフィフティフィフティって感じで、バランスが上手く取れてる。
一見バランス取れてるようで、どっちつかずになってる作品もあるけど、この作品はどっちもきちんと描かれてるのが、多分、一番の魅力かな……
個人的に、景と梓のペアは、時雨沢恵一氏の「アリソン」のアリソンとヴィルと同じくらいお気に入り。