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 Dクラッカーズ7-2 王国-a boy & a girl- 著:あざの耕平     【ライトノベル雑感】
2005/04/26 12:48

Dクラッカーズ7-2 王国-a boy & a girl-
「Dクラッカーズ7-2 王国-a boy & a girl-」
富士見ミステリー文庫。 (→amazon  →bk1

シリーズ完結。
「やっぱりなぁ」というか、7-1と7-2という風に分冊してしまった弊害がモロに見受けられて、その点だけちょっと残念。
7-1巻の中盤以降の怒涛の勢いのままフィナーレを迎えてたら……と思うと、ね(苦笑)

ただ、分冊したことが悪いことばかりかと言うと、そうでもなく。
分冊したことによる利点も確かにあると思う。
それが、巻頭のカラーイラスト。
7-1巻での女王と景という構図が、7-2巻では梓と景という構図に変わってます。
で、この対比が非常に面白いなぁ、と。
7-1巻で女王と一緒にいる景は青いウィンドブレーカーを着てて、要するに「景」としてというよりも「ウィザード」として一緒にいる感じで。
それに対して、7-2巻での景はウィンドブレーカーを脱いでるんですよね。
つまり、こっちはウィザードとしてではなく、景として梓と一緒にいる、と。
こういう対比が出来たのは分冊したからこそで。
数少ない分冊したことによる利点ではないかと思います(苦笑)

で、内容……に関してはまぁ、概ね予想できたものだったので省略。
甲斐が駆けつけるシーンとかは良かったですけど、やっぱり勢いがね、ちょっと足りない。
あとは、ベルゼブブと千絵の論議というか、言葉の応酬はやっぱり興味深かったかな。
というか、自分はこの作品のキャラの中ではダントツで景が好きで、それに続くのが千絵と梓とベルゼブブなんですよね(爆死)
甲斐とかももちろん嫌いじゃないけど、ベルゼブブの方が色んな意味で印象的。

それと、ラストまで読むと、ここまで諦めの悪い奴もそうお目にかかれないよなーというバールもお気に入り。
完膚なきまでに失敗に終わって、普通はわざわざ敵側の様子は描写する必要もないのに。
「俺はまだ生きている。 必ずもう一度、お前らを現世に呼び戻してやる。 永眠なんかさせないからな。 地獄のどの層でもいい。 耳を済ませて、俺の合図を待て」
もうね、最高に馬鹿ですよ、こいつら(苦笑)
何この諦めの悪さ(笑)
千絵とかも言わずもがな諦めが悪いですけど、こっちも相当。
敵役としてここまで魅力的な奴らはそういないです。

皆見茜と甲斐氷太
多分、この別れ(?)には賛否両論あると思うけど、個人的には悪くない結末だな、と。
物語的なハッピーエンドを優先するなら、他の結末もありえると思うけど。
甲斐の生き方を優先するならば、茜と一緒に……という結末は残念ながらありえないと思うので。
茜は完全には納得してないと思うけどね。
ただ、この二人にとってはこれが最上の結末だったように思う。
ま、茜もなんだかんだで強い人間だと思うし、甲斐への想いがある限り、進み続けるでしょう。

海野千絵と水原勇司
何となく、この二人に関しては書き方が曖昧で、特別な関係には見えないんだけど。
一応、景と梓、千絵と水原という形に収まるのかね?
恋人ともペアとしても、微妙な気がしてならないんだけど(爆死)
むしろ、千絵のペアは梓という印象が強いし。
恋人というほどではないみたいだし。
何とも関係が中途半端な気がするけど、まぁ、それはそれでありなのかなぁ。
ここで一気に関係進展というのもちょっとあからさま過ぎるし。

物部景と姫木梓
やっぱ、この二人はいいよねぇ……
景は水原や千絵あたりと話してる時はわりとクールというか、嫌な意味でなく、冷徹な雰囲気があるのに。
梓と二人っきりでの会話となると、途端に会話の年齢ががくっと落ちる感じで(謎)

下の会話とか、もうニヤニヤしっぱなし(爆死)
「わたしに優しくすること」
「…………」
「わたしを大切にすること」
「……なぁ、梓ちゃん。 ちょっと言っておきたいんだが……」
「わたしを慈しむこと」
「……わかったよ。 はいはい。 優しく、大事に、慈しみます。 まったく」

梓の言い方もかなりアレだけど、景の反応があまりにも純情すぎて最高です(爆死)
この後、目をつむってと言ってきた梓に対して「嫌だ。 君が、目を閉じろ」という、ここぞという時には強気な反応も更にナイス。
あぁ、やっぱり景はいいなぁ……


そんなこんなで、これで「Dクラッカーズ」本編は終了。
まだ外伝(短編集)の方が2冊残ってるんで、そっちはそっちで楽しみですが。
とりあえず、個人的には6巻と7-1巻で一気に評価が変わりましたね。
立ち位置的に作品の主役ではない千絵の孤独な活躍によって、未来を切り開いていくあたりが特にツボでした。
この手の作品ではどうしても主役(この場合、景と梓)をメインにして描いてしまいがちなだけにね。
一見脇役に見えるキャラが大活躍というのは非常に美味しい。
7-2巻もわりとしっかりまとめてあるしね。
シリーズ全体として見れば、名作と言っていいかと思います。

というか、この作品ってキャラとストーリーの比重が絶妙ですよねぇ。
大抵はキャラがストーリー(&設定)か、どっちかに比重が偏るものなんだけど。
この作品はフィフティフィフティって感じで、バランスが上手く取れてる。
一見バランス取れてるようで、どっちつかずになってる作品もあるけど、この作品はどっちもきちんと描かれてるのが、多分、一番の魅力かな……
個人的に、景と梓のペアは、時雨沢恵一氏の「アリソン」のアリソンとヴィルと同じくらいお気に入り。