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 All You Need Is Kill 著:桜坂洋     【ライトノベル雑感】
2005/01/26 08:31

All You Need Is Kill
「All You Need Is Kill」
スーパーダッシュ文庫。 (→amazon  →bk1

現在、実施中の「2chライトノベル大賞2004下半期」でトップを取りそうなくらい票数を集めてるので、優先順位繰り上げて読んでみたのですが。
確かに面白い話で、好きなタイプの作品ではあるんだけど、インパクトに欠けるというか。
何か物足りない感じが消えなかったです。

とある1日を延々と繰り返す、いわゆる無限ループに巻き込まれた新米兵の主人公が、そのループを利用して戦闘訓練などを繰り返して戦士になっていき、ある日戦場で自分以外にもループをしている女性と出会う……というような感じの話。
時間ループ物としては特筆すべきことは特になく。
その原因が光速を越えるタキオン粒子という”アイテム”であっさり説明しちゃってるから、そのあたりに特に面白味がないのが勿体無い。
この辺は無理に現実的な理由を持ち出さずとも、適当に誤魔化しちゃえば、逆に良くなると思うんですけどね。
「涼宮ハルヒの憂鬱」でも同じようなことを書いた気がするけど、しっかりと理屈つけて書いちゃうことで、想像の余地がなくなるのはホントに勿体無い。

時間ループ物のライトノベルとして真っ先に頭に浮かぶのが、海羽超史郎氏の「ラスト・ビジョン」な自分としては、それと比べても明らかに劣ってるかなぁという印象。
激しく話が逸れますけど、「ラスト・ビジョン」は知名度が圧倒的に低い隠れた名作ですので、時間ループ物に興味がある人は是非とも読んで欲しい1冊。
文章が読みづらかったりで、評価は割れそうですけどね。
でも、好きな人にはたまらない1冊になると思います。

閑話休題。
この作品の中で個人的に一番気に入ったのは序盤の、主人公が同じ日を繰り返してるということに気づいた時に確認のために行った行動。
おそらく、この作品を読んだ人の99%が特に何の感慨もなく素通りしてる場面だと思いますが、個人的にはかなりヒット。
本当に繰り返してるなら、死んでもまた最初に戻るだけだからという理由で、自らに銃口向けてぶっ放せるキャラはそうそうお目にかかれないと思うんですよね……

例えば、明晰夢(夢の中で自分が夢を見てることを自覚してる状態)の時に、これは夢だから死んでも大丈夫だよね♪というような感じで、自殺できる人はホントに少数派だと思うのです。
幾らこれは夢だと分かっていても、自分を殺すなんて行動が簡単に取れるわけがない。
にも関わらず、この主人公は同じ1日をループしてることを確かめるために、なんの躊躇いもなく自分自身を撃ち抜いてて。
想像通り、また最初のシーンに戻るわけですけどね。
この行動を深い意味に取らなければ、普通のどこにでもいそうな人間に見えますけど、自分はこの主人公は普通じゃないと思いました(爆死)


結論。
間違いなく良作だけど、名作と呼ぶほどのものではない。
もう一歩突き抜ける「何か」があれば、名作になったかもしれないだけに惜しい。
ま、新人の作品で、1巻完結という点は高く評価したいところ。
同作家の「よくわかる現代魔法」もシリーズを重ねるにつれて評価が上がってきてるみたいなので、機会があれば読んでみようかな。
あんまり優先順位は高くないんで、いつになるか分かりませんが……