電撃文庫。
一言で言えば、「キノの旅」から暗い部分を根こそぎ削ったような感じ。
1話完結の童話的なストーリーの集まり。
「キノ」に関して言えば、終わり方が微妙にダークだったり、微妙に後味悪かったするのが長所の一つなわけですけど、こっちは話自体もそうだけど、終わり方がごくごく普通なだけに印象として非常に弱い気がするのが勿体無い。
最後の話だけ、無理やり「……え?」って思うようなオチになってるけど、それも狙いすぎててイマイチ成功してるとも思えず。
これだったら、最初から最後まで「平凡だけど普通の童話的なお話」を貫いて欲しかったような。
と、これだけだと激しくイマイチな作品と取られかねないので少しフォロー。
まず、設定的には主人公のシュプルが、自分の創り出した「お話」を毎回おじいちゃんに聞かせるというもので。
作中劇のような感じなんですよね。
「お話」の主役はシュプルで、要するに自分自身が主人公。(いかにも、子供的な発想ですな)
で、そこに相棒だったり、上司だったり、部下だったり、色々と立場を変えてムルカというキャラが出てくる。
ちなみに、このキャラはシュプルのお気に入りの本の登場人物で、いわゆる架空のキャラクター。
そして、毎回シュプルとムルカが色々な出来事(事件など)に遭遇するというのがパターンで。
悪く言えばワンパターンなんだけど、キャラ描写がしっかりしてるので、個人的には安定感があって良い話だなーと思いました。
特にムルカ。
架空のキャラにしておくのは惜しい。
(そもそもライトノベルというもの自体が架空のお話ではあるけれど)
こういう、普段は飄々としてるけど、いざという時には頼りになる系のキャラは大好き。
「ワンピース」の赤髪のシャンクスとか。
まぁ、それでもこの作品における主人公優遇主義はかなりのもので、結局のところ、シュプルが一番カッコ良く描かれてるんだけどね。
それも子供の考える「お話」だから当然と言えば当然なのでしょうけど。
(子供が、自分が作ったお話で、自分自身をかっこ悪くするはずないので)
結論としては、「キノの旅」ほどのインパクトはないけど、地味に悪くない作品。
比較的薄めで文章も読みやすいので、2時間ほどで読めるのもポイント。
文章読むの早い人であれば、1時間かからずに読めるかも。