「学校を出よう!4 Final Destination」
電撃文庫。
マジで面白すぎ……
個人的なツボを突きまくりなのですよ。
今回の並列世界という世界構造は微妙に「YU-NO」を彷彿とさせるし。
2巻にも出てきた<インターセプタ>とかは「Ever17」の設定と微妙な共通点がある気がするし。
自分が好きな「時間(時系列)」というものを巧妙に利用した独自の世界観が素晴らしい。
2巻や3巻の感想でも言ったような気がするけど、1巻だけ読んで放置してる人は勿体無さすぎ。
「AIR」のDREAM編だけやって放置してるのと同じくらい勿体無い。
どこが良かったか具体的に説明しようとすると、激しくネタバレになるのが悔しい(爆死)
つか、最初に「時間」って言ったけど。
実際のとこ、扱ってるのは「時間」じゃなくて「世界」だったりする。
この辺、「涼宮ハルヒの憂鬱」でも独自の世界観を構築してたわけですけど。
「ハルヒ」との一番の違いは、「ハルヒ」が1巻に世界観の解説を詰め込んでしまったのに対して、こっちは1巻から少しづつ明らかにしていってる点。
「ハルヒ」は短編(=文庫1冊分)を目安として書いてたと思うわけで。
「学校」の方はおそらく最初からシリーズ化を前提として書いてる。
その差なんじゃないかなーと思う。
「ハルヒ」の方の世界観は……なんていうか、薄っぺらいんですよね。
非常に面白い世界ではあるんだけど、奥行きを感じない。
その点、こっちの世界はこの巻で明らかになったことも含めて、奥行きの深さが半端じゃない。
「YU-NO」レベル、と言ったら言い過ぎだけど。
ライトノベルという限定範囲の中では、間違いなく最上級レベル。
あくまで個人的にですが、自分が知るライトノベル作家の中で、この手のSF的な設定で書かせたら谷川流氏に勝るものはいないのではないかと。
誇張ではなく、わりと本気でそう思ってます。
それに、世界観だけじゃなくて、キャラも魅力的なのもポイント高し。
3巻で一気に株を上げた茉衣子は今回も大活躍だし。
1巻以降は出番多くないけど、何気に存在感ある若菜も相変わらず良いキャラだし。
今回初登場の多鹿も微妙に若菜と被るけど、凄く良いキャラ。
それと、忘れちゃいけないのが班長こと宮野。
このシリーズの魅力の一つが宮野による哲学的な台詞回し。
最初のうちは何を言わんとしてるのか分かりづらくて。
結論としては酷く単純なのに、延々と回りくどい言い方で。
なのに、何度も読んでるとそれが魅力的に思えてくるから不思議です(苦笑)
それにしても。
こういう考察もどきが出来る作品はホントに面白いなぁ。
谷川流氏は個人的お気に入り作家の一人になりましたね……
ぶっちゃけ、「ハルヒ」はもう書かなくていいから、こっちの続きをどんどん書いて欲しい。
しかし、この作品、各巻がそれぞれできちんと完結しつつも、その上でしっかりと伏線にもなってるのが凄い。
2巻の星名サナエとかも今後、再び出番がある可能性もありそう。
1巻~3巻を読んだ時には、2巻だけ番外編というか。
1巻や3巻とは世界観こそ繋がってるけど、物語的には繋がってない気がしたんだけど。
4巻まで読むと、実際はしっかりと繋がってる。
以下、ちょいネタバレで。
まず、序盤では仲嶋数花は多重人格で、更に人格が入れ替わり続けてるという推測の元、行動してて。
それだけでも十分面白いネタだと思うわけですよ。
ていうか、この「Aだと推測→Aではないらしい→Bだと推測→実はCだった」みたいな流れが凄い好き。
新たな推測が出てくるたびに「なるほど」と思わされて、でも、それは違って……みたいな。
こういう手法で書かれると、続きが気になって仕方ないというか。
読み進めるのが面白くて仕方ない。
で、結局のところ、数花は多重人格じゃなかったわけですけど。
ここで出てくる並列世界の原理。
世界Aに世界Zから同一人物(この場合は人格のみ)がやって来る。
すると、世界Aにいた人格は世界Bに押し出される。
以降、B→C、C→D……と続く。
この辺の原理は「YU-NO」と非常に良く似てますね。
ただ、勘違いしないで欲しいのはこの手の設定はパクろうとしても安易にパクれるものじゃないということ。
何ていうか、こういうネタで一つの作品を創り上げるには相当な才能が必要だと思うのですよ。
いかにそれらが矛盾していないように読者(プレイヤー)に錯覚させるか。
それが重要。
安易にパクっても、書き手に能力がなければ、絶対面白くはならない。
谷川流氏は相当こっち方面の才能に秀でていると言えるのではなかろうか。
終盤の宮野の独白にある「世界は有限である」という推測も非常に面白い。
なるほど、確かに無限に世界があるのであれば、A→B、B→C、C→D……という流れが仮に起こってもそれは永遠に続くことになる。
終わりがなくなってしまう。
ゆえに世界は有限である。
悪く言えば屁理屈と言えなくもない、ちょっとばかし強引な設定がSFの醍醐味だと思うのです。
それに加えて、<インターセプタ>や<インスペクタ>のような存在。
「Ever17」的に言えば、第三視点。
要するに、幾つも並列に存在する世界のどこにも存在せず、世界を俯瞰(傍観?)している存在。
この作品における彼らは何でもできる万能な存在ではないみたいだけれど。
それでも、一つの世界の中にしか存在していない者以上の知識と干渉力は持っているはず。
今後も彼らは物語に深く関わってくることになるでしょう。