講談社ノベルス。
「殺竜事件」「紫骸城事件」に続く、上遠野浩平氏のファンタジーミステリー作品第3弾。
値段が高めなのがアレですが、「相変わらず、上遠野さんの文章は上手いなぁ」と思わせてくれる作品。
(ちなみに、値段は¥900です)
内容は、海賊島で起きた殺人事件を「殺竜事件」の主人公らが解決するという普通の推理モノなんだけど。
上遠野氏の魅力である「張り巡らされた伏線の数々」と、「それらを気づかれないようにする隠蔽技術」というか、そういうのが上手く出てます。
「殺竜事件」の時もそうだったんだけど、推理モノのくせに、犯人を探すという部分に全く重点が置かれてないのが、おそらく推理小説としては異例でしょう。
今回も例に漏れず、事件を調査してたキャラは「犯人なんて最初からわかってたよ」ってな感じで飄々としてますからね(苦笑)
こっち(読者側)としては、どんなトリックを使った殺人で、誰が犯人なのかっていうのが一番気になるのに、その辺はただ伏線を入れるだけで、特に捜査らしい捜査もしないし。
あとは、これも上遠野氏の作品全般に言えることなんだけど。
シリーズものとして、一つの作品として完全に繋がってるんですよね。
「ブギーポップ」とかもそうなんだけど、勿論、その巻だけ読んでも楽しめる。
けれど、それまでの既刊を読んでると、より一層楽しめるというか。
今回の主人公は「殺竜事件」で出てきた3人なんですけど。
「紫骸城事件」では、彼等はほとんど出番なかったし。
他にも、「紫骸城事件」で最初の犠牲者となったキャラが今回の話で重要な役割を占めてたり。
そういう繋がりの使い方が激しく上手いですよね……
まぁ、そのせいで、シリーズが進むごとに、キャラが整理できなくなるという弊害もあったりするわけですが(苦笑)
「ブギー」シリーズでも、名前は過去に見たことあるけど、どこで出てきたキャラなのか、記憶にないって場合が多々ありますから。
とりあえず、上遠野氏の作品が好きな人には文句なくオススメ。
あと、既に次回作の発売も決定しているらしく、今後はこのシリーズも上遠野氏の代表作と言われる日も近いかも、とか思ったり。