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 魔術士オーフェン 我が聖域に開け扉<上>     【ライトノベル雑感】
2003/03/21 02:10

著:秋田禎信
富士見ファンタジア文庫

感想としては「素晴らしい」の一言に尽きるかと。
読む前は、次の巻で終わりというのが残念すぎて、素直に楽しめないかもしれないとか思っていたわけですが。
いざ読み始めてみると、あまりの面白さにページをめくる手が止まりませんよ……
この巻を読んで「オーフェン」という作品の持つ最大の魅力を再認識。
それは、ラストでそれまでの事態(事象)を一つに収束させる部分。
その手法があまりにも見事すぎるのです。

第1部完結編であるところの「我が神に弓ひけ背約者」があれだけ面白いのは、単にその巻の出来が良いだけじゃなくて、そこまでの過程全てを一つに収束させる過程が凄まじく上手いからだと思うわけです。
上遠野浩平氏とかも、序盤~中盤までの伏線をラストで一つに収束させる方法に長けた作家さんだと思うんですけど、それはあくまで一つの巻の中での話であり。(注:あくまで2003年当時の話です)
秋田氏の場合は、そこまでの全ての巻を下地として、その全てを一つにしてるんですよね。
これは小説や漫画のような長期連載が可能な作品でしか味わえない感覚だと思います。

話を戻します。
今回の「我が聖域に開け扉<上>」という作品は次の最終巻へと続く、その布石となる作品であり、今までの事象が少しづつ収束していく過程を描いているわけです。
第1部は一応既に完結してるわけですから、普通に考えると第2部開始の11巻、或いは第2部の目的が生まれる10巻から18巻までをまとめるような話になると思うんですよ。
ところが!
今回の話は1巻から18巻まで。
つまり、今までの「オーフェン」という作品の全てをまとめるような展開になってるのですよ。
それが一番びっくりしました。
オールスター状態で、今更出番がある筈もないと思ってたキャラまで出てくるし。
今更使われるはずもないと思われていた7巻とかの設定が絶妙な伏線になってたり。

ぶっちゃけ、第2部になってからはちょっと勢いが落ちたかなーと思ってたんですけど。
それは間違いでしたね。
要するに、第1部完結編である「我が神に弓ひけ背約者」の出来が良すぎたから、そう思えただけで。
第2部になってから読んでない人や、途中で読むのをやめてしまった人がいるなら、早々に続きを読むことを強くお勧めします。
今回の話は、第1部終盤に負けずとも劣らない素晴らしい出来だと思いますから。
最終巻となる20巻まで読んで、ようやく「オーフェン」という作品を語ることができるようになるんじゃないかなぁ。
つーか、色々言いたいことあるので以下ネタバレ注意。


ぶっちゃけ、ハーティアがいきなり出てきたのには驚いたね。
もう完全に役目が終わったと思ってただけに。
あと、コミクロンの名前も2,3度出てきたし、やっぱり最終的にはチャイルドマン教室というのが物語の鍵なのね。
そして、ハーティアとコルゴンの会話が致命的に面白すぎます……
コルゴンって、ハーティアの前だとキャラ変わってないですか?(苦笑)
全体としてはシリアス99%って感じなのに、この会話と地人二人が出てくる場面だけギャグ度が一気に上がります。
それと、今まで名前しか出てこなかった、王都の魔人プルートーもばりばり出てきますしね。
彼は最終的な結末にはそれほど関係しない気もしますが、最終巻でも引き続き出番があるのは確実でしょう。

あとは、7巻「我が遺志を伝えよ魔王」で出てきた魔王スウェーデンボリーの話題が再び出てきたりして、この辺はラストまで考えた上での伏線だったのかなぁ。
だとすると、かなり凄いことですよね……


次の巻が最終巻なわけですが、もう不安はないです。
とにかく期待して待つ事にします。
「オーフェン」という作品にどういう決着をつけてくれるのか、今から楽しみで仕方がありません。